淋病
淋病とは?
淋病は、淋菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる性感染症(STD)です。日本国内でも感染者数は少なくなく、特に若い世代を中心に広がりを見せています。この感染症は、男性と女性の性器だけでなく、咽頭(のど)にも感染する可能性があります。放置すると、不妊症などの深刻な合併症を引き起こすリスクがあるため、早期の対応が非常に重要です。
「淋病」について知っておくべきことを、症状、感染経路から検査、治療まで解説しましたので、是非最後までお読みください。

症状
淋病の症状は、感染した人の性別や部位によって異なります。特にクラミジアと症状が似ている場合も多く、自己判断は難しいことがあります。
男性の場合:性器淋病の症状

男性が淋病に感染すると、最も多いのは尿道炎です。クラミジアによる尿道炎と比べ、症状が強く出やすい傾向があります。
放置すると、尿道炎の症状が悪化すると前立腺炎や精巣上体炎を引き起こすことがあります。
精巣上体炎は、精子の通り道となっている精巣上体に、尿道から精管を通じて淋菌が逆流して炎症を起こします。
排尿時の痛みや灼熱感(排尿痛):
特に排尿のし始めに強い痛みを感じることが特徴です。
尿道からの膿(うみ):
黄白色の膿が少量から多量に出ることがあります。下着に付着したり、朝起きた時に尿道口にパリパリに固まってしまったりしていることもあります。
尿道のかゆみや不快感:
尿道にムズムズとしたかゆみを感じることもあります。
女性の場合:性器淋病の症状
女性の淋病感染は、男性に比べて自覚症状が乏しいことが多く、感染に気づかないまま進行してしまうケースが少なくありません。
おりものの増加や変化:
量が多い、いつもと違う、黄色っぽいおりものが見られることがあります。
不正出血:
性交時や生理以外の期間に出血してしまいます。
下腹部痛:
感染が子宮や卵管に広がった場合に起こることがあります。
無症状のまま放置すると、子宮頸管炎から骨盤内炎症性疾患(PID)へと進行し、不妊症の原因となってしまいます。
咽頭(のど)淋病
オーラルセックスによって感染することが多く、ほとんどが無症状です。もし症状が出たとしても、軽い喉の痛みや違和感程度で、風邪と間違われてしまうことも少なくありません。
淋病とクラミジアは症状が似ているため、自己判断での区別は困難です。ご自身の症状が淋病によるものか、あるいはクラミジアによるものかを確認するには、医療機関での検査が必要です。
クラミジアについて詳しくはこちらをご覧ください。
感染経路
淋病の主な感染経路は性交渉(性行為)です。具体的には、以下の性的な接触によって感染が広がります。
膣性交
オーラルセックス(口腔性交)
感染者の粘膜や体液が付着したタオル、下着などを介して間接的に感染する可能性もゼロではありませんが、これは非常に稀であり、主な感染経路ではありません。
その他にも、肛門性交によって直腸の淋病、指などで目を擦ることによって目の淋病になる可能性もあります。また、感染している母親から出産時に赤ちゃんへと感染する産道感染も経路の一つです。
潜伏期間
淋病の潜伏期間は、感染してから症状が現れるまで2〜7日程度が一般的です。しかし、個人差があり、中には数週間経ってから症状が出る場合や、前述の通り無症状のまま経過するケースも少なくありません。特に女性や咽頭への感染では、無症状の期間が長く続く傾向があります。
検査
淋病の検査には、PCR検査(核酸増幅法)が用いられます。この検査は保険適用となっており、淋菌の遺伝子を直接検出するため、非常に感度が高いのが特徴です。
男性の性器淋病:尿から検体を採取します。
女性の性器淋病:膣分泌物または尿から検体を採取します。
咽頭淋病:咽頭うがい液などから検体を採取します。
【当院の場合】
2~4日で淋菌が陽性か陰性であったか、ネット上で検査結果を確認できますので、結果を知るために来院する必要がありません。
なお、当院では検査キットによる迅速検査は精度が低く偽陰性となってしまい、トラブルになることがあるため、実施していません。
検査費用(保険診療)
診察代と淋病・クラミジアの検査代で、自己負担3割で合計2500円前後になります。
当院では淋病が疑われる症状がある場合には、保険適用にて検査しています。
検査費用(自由診療)
クリニックごとに価格は自由に設定することができます。
当院では、自由診療の場合には、診察代と淋病・クラミジアの検査代で合計3000円(税込)になります。
検査を受けるべきタイミング
症状がある場合は、できるだけ早く検査を受けましょう。感染機会から24時間経過していれば検査することができます。
治療
淋病の治療には、主に抗生物質の注射薬が用いられます。
注射薬:多くの場合、セフトリアキソンの点滴、またはスペクチノマイシンの筋肉注射が用いられます。1回の投与で効果が期待できます。
内服薬:内服薬が処方されることもありますが、薬剤耐性菌の出現により、選択肢が限られています。
当院では淋菌性尿道炎が疑われる症状がある場合には、検査結果が出る前でも保険適用にてすぐに治療を開始します。検査結果で淋菌が陽性であることが確認できた場合には、抗生物質の点滴(セフトリアキソン)をおこなっています。
治療費用(保険診療)
1週間分の薬代が、自己負担3割で1000円前後になります。
郵送検査、自由診療のクリニック、保健所でおこなわれた淋菌の検査が陽性であれば、治療は保険適用になります。必ず検査結果をお持ちになってください。
治療費用(自由診療)
クリニックごとに価格は自由に設定することができます。
当院では、保険診療でない場合には点滴1回もしくは1週間分の薬代で3000円(税込)になります。
淋菌の薬剤耐性問題
近年、淋菌の薬剤耐性が世界的に問題となっています。かつて有効だった抗生物質が効かなくなってきているため、治療には適切な薬剤選択と、確実に治療を完了させることが重要です。複数の抗生物質に耐性を持つ淋菌は「スーパー淋菌」と呼ばれることもあり、自己判断で服薬を中断すると、耐性菌の発生を助長する可能性があります。
治療中の注意点とパートナーとの連携
指示された薬剤を最後まで服用する:
症状が改善しても、自己判断で服用を中止しないでください。
治療が完了するまで性交渉を控える:
再感染やパートナーへの感染拡大を防ぐためです。
パートナーも一緒に検査・治療を受ける:
パートナーが感染している場合、自分が治療を終えてもパートナーから再感染する可能性があります。必ず一緒に検査を受け、必要であれば治療をおこなってもらいましょう。
治療後の再検査:
治療完了後、3週間後以降に再検査をおこない、完治しているか確認することが推奨されます。
注意点
予防策
コンドームの正しい使用:
性交渉時のコンドームの適切な使用は、淋病だけでなく他の性感染症の予防にも有効です。
不特定多数との性交渉を避ける:
性交渉の相手が多ければ多いほど、感染のリスクは高まります。
定期的な検査:
複数のパートナーがいる場合や、少しでも感染の不安がある場合は、定期的に性感染症の検査を受けることを検討しましょう。特に無症状の場合が多いため、検査は早期発見・早期治療につながります。
何科の病院にかかればよいのか?
男性の性器淋病:泌尿器科、性感染症内科
女性の性器淋病:婦人科、性感染症内科
咽頭淋病:検査しているかどうか確認が必要ですが、性感染症内科、泌尿器科、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。
パートナーとのコミュニケーション
性感染症についてパートナーと話し合い、互いの健康を守る意識を持つことが大切です。
淋病は適切な治療を受ければ治る病気ですが、放置すると深刻な合併症を引き起こす可能性があります。正しい知識を持ち、予防と早期発見・早期治療を心がけましょう。
当院泌尿器科の診療内容
新宿駅前クリニックの泌尿器科では、男性の性器淋病(淋菌性尿道炎)および咽頭淋病の検査と治療を、保険診療もしくは自由診療でおこなっています。
女性の性器淋病の検査および治療は承っておりませんので、婦人科におかかりください。
咽頭淋病については、男性と女性共に保険診療もしくは自由診療でおこなっています。
なお、点滴(セフトリアキソン)ご希望の方は、午前10時から12時、午後3時30分から5時までの間にお越しください。
保険診療の場合には、検査代や診察代だけでなく薬の処方も保険適用で受けることが可能です。
予約不要で診療しておりますので、お気軽にご相談ください。