咽頭クラミジア
咽頭クラミジアとは?
咽頭クラミジアは、性感染症であるクラミジア・トラコマティスが、のど(咽頭)に感染した状態を指します。性器クラミジアと同じように自覚症状が乏しく、感染に気づかないまま日常生活を送っている人が多いため、「見えない感染」として問題視されています。主にオーラルセックス(口腔性交)によって感染が広がり、放置すると他の性感染症のリスクを高める可能性もあります。
クラミジアは咽頭(喉)以外にもデリケートゾーンにできる性器クラミジアもありますが、性器クラミジアを含めたクラミジアの全体像については、こちらの「クラミジア」のページをご覧ください。
「咽頭クラミジア」について知っておくべきことを、症状、感染経路から検査、治療まで解説しましたので、是非最後までお読みください。
症状
咽頭クラミジアの最大の特徴は、約90%が無症状であることです。そのため、感染に気づかないままパートナーにうつしてしまうケースが多く、感染拡大の要因となっています。
多くの感染者が症状を自覚しないため、日常生活で気づくことは困難です。風邪と間違われやすい程度の症状しか現れないこともあります。
必ずしも咽頭クラミジアとは限りませんが、定期的に自分で以下の症状がないかどうかチェックすると良いでしょう。
軽い喉の痛みや違和感:のどがイガイガする、乾燥する、といった程度の不快感です。
痰:無色から白色の痰が出ることがあります。
咳:乾いた咳、空咳が出ることがあります。
扁桃腺の腫れ:見た目には分かりにくい程度の腫れです。
発熱:微熱が出ることがありますが、これも風邪と区別がつきにくいです。
感染経路
咽頭クラミジアの主な感染経路は、オーラルセックス(口腔性交)です。
性器から咽頭への感染:感染者の性器から咽頭へ、口腔を介してクラミジア感染します。
咽頭から性器への感染:逆に、咽頭に感染した人がパートナーの性器にオーラルセックスを行うことで、性器クラミジアを感染させる可能性もあります。
キスでも感染するのか?
軽いキスや食器の共有など、一般的な日常生活での接触で感染することはほとんどありません。クラミジア菌は乾燥に弱く、体の外では長く生存できないため、ごく稀な例外を除き、通常の接触では感染しないと考えて良いでしょう。あくまで粘膜接触を伴うディープキスを含む性的な行為が主要な感染経路です。
潜伏期間
咽頭クラミジアの潜伏期間は、感染から症状が現れるまで1〜3週間程度が一般的です。しかし、前述の通りほとんどが無症状であるため、潜伏期間を正確に特定することは難しい場合が多いです。数週間〜数ヶ月経ってから、たまたま症状が出る、あるいはパートナーの感染が判明して初めて自分の感染が明らかになる、というケースも少なくありません。
なお、自然治癒することはあまりありません。
検査
咽頭クラミジアの検査は、コップに入った液体(生理食塩水)を口に含んでガラガラとうがいをして、液体をコップに戻し検体として検査します。特に痛みはありません。
【当院の場合】
2~4日でクラミジアが陽性か陰性であったか、ネット上で検査結果を確認できますので、結果を知るために来院する必要がありません。
検査費用(保険診療)
診察代とクラミジア・淋菌の検査代が、合計2500円前後になります。
検査費用(自由診療)
当院では、保険診療でない場合には、診察代とクラミジア・淋菌の検査代で合計3000円(税込)になります。
検査を受けるべきタイミング
性交渉後、3週間程度経ってからの検査が推奨されます。これは、潜伏期間を考慮し、正確な結果を得るためです。
下記に当てはまる場合は、症状がなくても積極的に検査を受けることを検討しましょう。
・オーラルセックスの経験がある場合
・新しいパートナーとの性交渉があった場合
・パートナーが性感染症に感染したと判明した場合
・他の性感染症の検査を受ける際
特に、喉に違和感があるが風邪薬が効かない、といった場合は、性感染症の検査も視野に入れるべきです。これらの症状は、一般的な風邪や咽頭炎と似ているため、性感染症を疑うことは難しいでしょう。そのため、症状がないから大丈夫と安易に判断せず、リスクのある行為があった場合は検査を受けることが非常に重要です。
治療
咽頭クラミジアの治療には、主に抗生物質が用いられます。性器クラミジアと同じ種類の薬剤が使用されます。
内服薬:マクロライド系のアジスロマイシン(1回のみの服用)やテトラサイクリン系のドキシサイクリン(7日間の服用)などが処方されます。これらの抗生物質は、クラミジアに対して高い効果を発揮します。なお、ドラッグストアなどの市販薬では完治しません。
治療費用(保険診療)
1週間分の薬代で、1000円前後になります。
治療費用(自由診療)
クリニックごとに価格は自由に設定することができます。
当院では、保険診療でない場合には1週間分の薬代で3000円(税込)になります。
何科の病院にかかればいいか?
性感染症内科、泌尿器科、耳鼻咽喉科などのクリニックを受診します。 念のため、咽頭クラミジアの検査を実施しているのか確認しておくべきでしょう。
治療中の注意点とパートナーとの連携
指示された薬剤を最後まで服用する:
症状が改善しても、自己判断で服用を中止しないでください。完治せず、再発や薬剤耐性につながる可能性があります。
治療が完了するまで性交渉を控える:
治療中に性交渉を行うと、パートナーへの感染や、パートナーからの再感染(ピンポン感染)のリスクがあります。医師からOKが出るまで性交渉は避けましょう。
パートナーも一緒に検査・治療を受ける:
咽頭クラミジアはパートナー間での感染が非常に多いため、必ずパートナーも検査を受け、必要であれば治療を行ってもらいましょう。自分だけが治療しても、パートナーから再感染してしまう可能性があります。
治療後の再検査:
治療完了後、3週間後に再検査を行い、完全にクラミジアがいなくなったか(陰性化しているか)確認することが推奨されます。
注意点
咽頭クラミジアは自覚症状が乏しいため、予防と早期発見・早期治療が非常に重要です。
オーラルセックス時のコンドームの使用:
コンドームを使用することで、感染リスクを低減できます。
不特定多数との性交渉を避ける:
性交渉の相手が多ければ多いほど、感染のリスクは高まります。
定期的な性感染症検査:
特にオーラルセックスの経験がある方は、無症状でも定期的に検査を受けることを検討しましょう。
パートナーとのオープンなコミュニケーション:
性感染症についてパートナーと正直に話し合い、互いの健康状態を共有する意識が大切です。感染が判明した場合は、お互いに協力して検査・治療を行いましょう。
咽頭クラミジアを放置するとどうなる?
咽頭クラミジアは放置すると、性器クラミジアと同様に不妊症などの合併症には繋がり、他の性感染症への感染リスクを高める可能性や、パートナーへの感染源となるリスクがあります。
当院泌尿器科の診療内容
新宿駅前クリニックの泌尿器科では、男性および女性の「咽頭クラミジア」の検査および治療を保険診療、もしくは自由診療でおこなっています。
保険適応で診療を受ける場合には、検査代や診察代だけでなく薬の処方も保険適用で受けることが可能になります。
予約不要で診療しておりますので、お気軽にご相談ください。