ハイドロキノン
ハイドロキノンは、皮膚のシミや色素沈着を改善する効果があり、一般に「肌の漂白剤」とも言われています。市販の化粧品にも医薬部外品としてハイドロキノン含有のクリームなどがありますが、含有濃度は低いため、目覚ましい効果は期待できないでしょう。一方、皮膚科などの医療機関で提供できるハイドロキノンは高濃度のものであるため、十分に効果が望めます。さらに、現状のシミを薄くするだけでなく、将来の色素沈着に対する予防としても有効です。
適応となる症状
シミ、にきび跡・けがの治癒後の色素沈着に効果があります。
ハイドロキノンの効果
現在目に見えるシミを薄くし、また今後の色素沈着を予防する効果があります。
シミや色素沈着の原因となるのはメラニン色素です。皮膚にシミや色素沈着が発生するのは、紫外線が皮膚表面に当ること等をきっかけに、メラノサイトというメラニンを生成する細胞が活性化するからです。ハイドロキノンを使うことにより、メラノサイトに働きかけてメラニン色素生成を抑制することが出来ます。
また、医師の指示通りに使用すれば大きな副作用も起きにくい薬剤です。ただし、使用後すぐに効果が現れることはなく、使用してからある程度時間がたってから効果が出てきます。なお、効果の発現時期には個人差があります。
いわゆる美白効果があるとされるものにビタミンCやコウジ酸などがありますが、ハイドロキノンはそれらの美白効果を遥かに凌駕する作用があります。シナールなどのビタミンC製剤を併用すれば、より色素沈着の改善が期待できます。
ハイドロキノンの作用
メラノサイトがメラニンを生成する際は、チロシナーゼという酵素が働いています。ハイドロキノンを使用すると、このチロシナーゼの働きを阻害することで色素沈着を改善します。メラニン自体は、アミノ酸の一種であるチロシンが元になっています。このチロシンにチロシナーゼが作用し、ドーパという化合物に変化します。ハイドロキシンは、チロシナーゼに先立ってチロシンやドーパに結合することでチロシナーゼの結合を阻害します。この作用により、メラニンの生成を抑制することが出来ます。
ハイドロキノンの使用法
洗顔後に化粧水や保湿剤で素肌を整えた後、シミや色素沈着部分の上に薄く塗ります。朝と夜の1日2回を目処に使用します。洗顔直後に使用すると薬剤が肌へ浸透しやすく効き目が強くなりすぎる場合があるため、使用後に肌に違和感を感じた場合は洗顔後10分~20分経過してから使用します。もし、赤みやかゆみなどの症状が発生した場合は、使用を中止して主治医に相談して下さい。なお、レーザ治療後や液体窒素治療による色素沈着に対処するために使用する場合は、主治医の指示にしたがって使用していきます。
ハイドロキノンの価格
様々な価格のものがありますが、10gあたり3000円~5000円の価格帯で提供されています。
ハイドロキノンの保存方法
ハイドロキノンは熱と光に弱く、したがって開封後は密封して光に当たらないようにし、冷蔵庫に入れて保管します。また、ハイドロキノンは酸化しやすい薬剤です。酸化すれば変色して効果が低下します。そのため、開封後はおおよそ1~2ヶ月以内に使い切ることを目安とします。
ハイドロキノンの注意点
- 不適切な使用をすれば、肌を痛めたりシミを増加させたりする可能性もあります。主治医の指示にしたがって使用して下さい。
- ハイドロキノンは他の薬剤と比較して劣化がしやすいため、開封後は熱や光を避け、密閉して冷蔵庫などの暗室に保管して下さい。
- ハイドロキノンは酸化しやすい成分のため、1ヶ月~2ヶ月の頻度で新しいものに切り替えます。
- 劣化したハイドロキノンはを使用すると皮膚への刺激が強くなりかぶれの原因になるため、必ず新鮮なものを使用するようにして下さい。
- 適切に使用しても、まれに赤みが起きることがあります。多くの場合は自然治癒していきますが、継続して赤みが出続ける場合は主治医に相談して下さい。使用頻度を変更するなど、体質に合った使い方に切り替えます。初回使用時は目立たない部位で少量を試し、皮膚の反応を確かめてみると安心して使用できます。
- ハイドロキノンの効果には即効性はありません。一般的には、使用後1か月後あたりから効果が現れ始めます。そのため、1ヶ月以内に効果が出ない場合でも、継続して使用し続けることが大切です。もし長期間(3ヶ月以上)使用しても効果が現れない場合は主治医に相談して下さい。
- ハイドロキノン含有の市販の化粧品もありますが、それらのハイドロキノン濃度は一般に高くはなく、したがって望んだ効果は得られにくい可能性があります。医療機関で提供するハイドロキノンは色素沈着に対して十分な効果が望める濃度を含有しているため、ハイドロキノンの使用を希望する場合は、皮膚科を受診して処方してもらう方が効果的です。